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基盤研究 教養研究講演会 no.10 「宗教の中国化」政策:文化的レトリックと統治戦略

「中国化」は習近平政権における宗教政策の中心的概念であるが、その内容は曖昧かつ複雑で、政治的意味と文化的意味の両方を含んでいる。この政策は、まずは近年における中国政府とキリスト教・イスラム教・チベット仏教などの「外来宗教」の一部の信者との間の緊張関係と、権力側が民族主義的感情と文化特殊主義的論述を動員して統治戦略の正当化を図ろうとしていることを反映している、と言える。
しかし、より長期的な視点に立てば、この政策の目標は中国共産党の支配体制における政治と宗教との関係の基本的な規範を再確認し、宗教問題や民族問題における中央権力の絶対的な権威を再構築することにある。
今回の講演では、まず百年来の中国共産党の宗教政策の変遷をふり返ったあと、「宗教の中国化」政策の言説の構築過程とその内容について考察を行い、さらにこの政策の宣伝と実施についての簡単な説明と評価を行う。

講演言語:中国語(日本語通訳有)/通訳 : 山下一夫(慶應義塾大学理工学部教授)

★入場無料・申込不要★

日時:
2024年7月23日(火)16:30~18:30 
会場:
日吉キャンパス 来往舎2階 大会議室
講師:
講演者:汲喆(Ji Zhe、ジー・ジャー)

1974年生。フランス東洋言語文化学院(INALCO)社会学教授。
2007年にフランス社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を取得。専門は近現代漢伝仏教、宗教グローバリズム、宗教社会学理論、フランス中国学。
著書に“Religion, modernite et temporalite: une sociologie du bouddhisme chan contemporain”(宗教・近代性・時間性:現代における禅宗の社会学)、編著に『二十世紀中国仏教的両次復興』(二十世紀における中国仏教の二度の復興/Daniela Campo、王啓元との共編)、“Making Saints in Modern China”(近代中国における成道/David Ownby、Vincent Goossaertとの共編)、“Buddhism after Mao:Negotiations, Continuities, and Reinventions”(ポスト毛沢東時代の仏教:交渉・継続・再発明/Gareth Fisher、Andre Laliberteとの共編)、『現代世界的思想者:斉美爾研究輯選』(近代世界の思考者:ジンメル研究選集/任強との共編)。
またデュルケーム『宗教生活の基本形態』(渠敬東との共訳)、モース『贈与論』、デュルケーム&モース『分類の若干の未開形態について』など、フランス・アナール学派の重要な著作の中国語訳も行っている。

司 会:小野 文(慶應義塾大学理工学部教授)→酒井規史(慶應義塾大学商学部准教授)

通 訳:山下一夫(慶應義塾大学理工学部教授)

企 画:小菅隼人(慶應義塾大学理工学部教授)

定員:
約80名
参加費:
無料
申込み:
不要
対象:
研究者・塾生・教職員・塾員
参考:
備考:

主催:慶應義塾大学教養研究センター
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