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紫綬褒章受章 片山杜秀教養研究センター所長(法学部教授)
片山杜秀教養研究センター所長(法学部教授)が令和8年春の褒章にて紫綬褒章を受章されました。
紫綬褒章は、科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方に贈呈されるものです。片山教授は、音楽評論における功績により受章されました。
片山教授よりコメントをいただきました。
私が三田の政治思想系の教員に雇われたのは2008年のことで、それまでの20年くらいの間というか、大学院生の途中からになりますが、いつも新聞や雑誌に執筆して暮らしておりまして、45歳で就職するまでは単著はなかったのです。1990年代から単著もいろいろ頼まれていたというのに、締切が明瞭にあって生活の足しにもなる新聞・雑誌の仕事を優先すると、書き下ろしをしている暇がどうしても出てきません。ずっとそのままで経過しておりました。
しかし、だいぶん遅くの忘れた頃に就職するというのに、単著がないのも恥ずかしい。そこで一区切りつけるべく『近代日本の右翼思想』と『音盤考現学』『音盤博物誌』をまとめました。政治思想史と音楽批評の本だったわけで、前者も幸いに版を重ね、その道の方にはずいぶん話題にしていただきましたが、吉田秀和賞とサントリー学芸賞をいただいたのは後者の2冊のセットの方でした。吉田さんと林光さんと川本三郎さんが買ってくださったからだと理解しております。
そこにひとつの分かれ道があったのでしょうし、大学的には三田より日吉がはまる人に明らかになったでしょう。事実、2011年から日吉に居させていただいていますし、世間でも政治思想史本と音楽批評本を書いている人は同姓同名の別人ではないかと思われたくらいですが、本人としては、時代精神や個々の人物を通じて、相異なるように見える複数の領域を一体にとらえるのが自然なつもりで若い頃からやっていたので(これは恩師の䕃山宏先生からの影響に他なりませんが)、まあ、自然体でやればやるほど、仕事が分裂しているようにますます外からは見えるという、おかしなことになって、修正するつもりもないまま、だいぶん年を取ってしまったのでございます。
そうしておりましたら、その道でかなり年季が入っていると思われないと対象にならないタイプの褒章を「音楽評論家」としていただくことになりました。本人としては狭義の音楽評論というよりも、多分野混淆型の書き方が評価していただけたのかと勝手に信じておりますし、それはやっぱりとても日吉的なことではないかと、これまた勝手に喜んでおります。定年も近づく老齢の身ですが、至らぬ者ながら教養研究センターの発展になお尽くして参る所存ですので、どうか何卒よろしくお願い申し上げます。
水戸芸術館片山杜秀館長 紫綬褒章受章のお知らせ
片山 杜秀(慶應義塾大学教養研究センター所長・法学部教授)