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基盤研究 教養研究講演会 no.11 オウム真理教事件を通じて現代社会を見る―「抑圧されたもの」の回帰のように
ちょうど30年前にオウム真理教団によって引き起こされた地下鉄サリン事件は、宗教的な集団が「先進国」の都市の真ん中で引き起こした無差別テロとしては、世界で初めての出来事であった。このとき、世界中の人は「こんなことが起きるのか」と驚いたのだが、その後の短い歴史を振り替えると、2001年の911テロをはじめ、アメリカやヨーロッパの大都市では、いわゆる原理主義者たちが何度もテロを引き起こしてきた。オウム真理教によるテロは、21世紀の政治・宗教的現象の予兆のようなものであった。
有名大学の学生や出身者等の知的エリートをおもなメンバーとしていた教団が、どうしてあのようなテロに走ったのか。オウムの終末論的な世界観、彼らが希求した(人間)関係のあり方などを検討すると、奇妙なことに気づく。インターネットの大衆的普及の前夜の日本の社会的・文化的な状況がわかるだけではなく、今まさに国際社会を舞台にして起きていること(たとえばトランプ現象)の本性が見えてくるのだ。現代社会で起きていることは、「オウム的なるもの」の、幻想の内容としては希釈された、しかし社会的な規模としては大幅に拡大された、(意図せざる)回帰のようなものとして解釈できる。
★入場無料・申込不要★
日時:
2025年6月4日(水)18:10~19:40
会場:
日吉キャンパス 来往舎1階 シンポジウムスペース
講師:
大澤真幸(社会学者)
1958年長野県松本市生まれ。東京大学大学院社会学研究科卒。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授等を歴任。現在、個人思想誌『Thinking「O」』(左右社)主宰。『行為の代数学』(青土社)、『身体の比較社会学』(勁草書房)、『増補 虚構の時代の果て』(ちくま学芸文庫)、『不可能性の時代』(岩波新書)、『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)、『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎と共著、講談社現代新書、中央公論新書大賞)、『自由という牢獄』(岩波書店、河合隼雄学芸賞)、『社会学史』(講談社現代新書)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『西洋近代の罪』(朝日新書)等、著書多数。
1958年長野県松本市生まれ。東京大学大学院社会学研究科卒。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授等を歴任。現在、個人思想誌『Thinking「O」』(左右社)主宰。『行為の代数学』(青土社)、『身体の比較社会学』(勁草書房)、『増補 虚構の時代の果て』(ちくま学芸文庫)、『不可能性の時代』(岩波新書)、『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)、『ふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎と共著、講談社現代新書、中央公論新書大賞)、『自由という牢獄』(岩波書店、河合隼雄学芸賞)、『社会学史』(講談社現代新書)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『西洋近代の罪』(朝日新書)等、著書多数。
定員:
約100名
参加費:
無料
申込み:
不要
対象:
研究者・教職員・関心のある学部生、大学院生
参考:
備考:
主催:慶應義塾大学教養研究センター
主催:慶應義塾大学教養研究センター
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