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日吉キャンパス公開講座「自然と人工」(全5日)開催のお知らせ
学校で国語の時間に「自然の反対は人工」と習います。端的に言えば、自然は「人間の手が加えられていない物、状態」を指し、人工は「人間によって作られた物、状態」という意味合いで使われます。
「人工」を悪い意味で使う場合もあります。人間は、人工物、或いは人工物を作るプロセスにより、自然を破壊し環境汚染を引き起こしてきました。このことは、コロナ禍で経済活動や生産活動が停滞した結果、実際に、大気汚染や河川等の水質が改善し、自然が戻ってきた、という事実からもうかがい知ることができます。ここでは「自然」と「人工」を二項対立的に扱っています。
そもそも人間は、極寒、酷暑に限らず、気温・天候の変化に伴う過酷な自然環境を生き抜いてきました。「人工(物)」は、台風や地震などの自然現象を乗り越えて、人間が生きるための術であり、これが「人工」の原点だという見方もできるでしょう。
一方で、人間を自然と対峙させず、人間も自然の一部であるという考え方や、自然と人工が入り混じったものを一つの要素として捉えることもできるでしょう。例えば、生命の誕生、個の成長、医療等は、人工の力が自然の営みを支える、いわば自然と人工が組み合わさった事例とも言えます。
また、芸術や科学で人工的に自然を表現しようとするとき、どれくらい再現が可能なのでしょうか。何をどうがんばっても全く不自然で、非現実的なものにしかなりえないのか。これも「自然と人工」の興味深い対比と言えそうです。
そういえば、「人工衛星」という言い方はしますが、冷凍庫の氷を「人工氷」とは言いません。日常的に使っている言葉も、意識してみると、いろいろと発見がありそうです。
そんな「自然と人工」にまつわる話題を広範な分野から集めたのが、本年度の公開講座です。様々な話題、角度から皆様と共に考察していければと考えています。
〇各回とも➀13:00~14:30、②14:45〜16:15
〇会場:慶應義塾大学日吉キャンパス内
〇定員:350名 ※先着順受付。定員に達し次第、受付を終了させていただきます。
お申し込みはこちら(9月1日10時より受付開始)。
【スケジュール】(予定)
10/4(土)
挨拶 (12:35~12:40) 奥田暁代 慶應義塾常任理事
趣旨説明(12:40~12:50) 寺沢和洋 慶應義塾大学医学部助教/日吉キャンパス公開講座運営委員長
①北斎とサイエンス─幕末浮世絵師の事例より─
内藤正人 慶應義塾大学文学部教授/慶應義塾大学アート・センター所長
②自然と人工で考える、身体活動・運動・スポーツと健康
小熊祐子 慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授
10/25(土)
①女性型人造人間が登場するフィクションから女性の人工美を考える
新島進 慶應義塾大学経済学部教授
②「地球」/「地表」を描く「地図」―「地図の力」と「地図のレトリック」―
太田弘 日本地図学会評議員/元慶應義塾普通部教諭、学術博士
11/8(土)
①アオウミウシを育ててみた!―自然を感じ、観察する―
林牧子 慶應義塾大学経済学部助教
②物質・材料と自然・人工
井奥洪二 慶應義塾大学経済学部教授/慶應義塾大学自然科学研究教育センター
11/15(土)
①②米大陸を放射能汚染から救った歯の抜けた子どもたちの物語
伊東英朗 ドキュメンタリー映画監督
11/29(土)
①資源植物×科学技術が切り拓く、持続可能なゴムの未来
栗原恵美子 慶應義塾大学商学部助教
②再生医療の現状と未来─iPS細胞を用いた神経難病への挑戦─
岡野栄之 慶應義塾大学再生医療リサーチセンター教授/センター長
【注意事項】
■日吉図書館の利用
講座期間中、日吉図書館をご利用いただけますが、貸し出しおよび電子資料の利用はできません。
■体調不良等の自己都合による欠席
講座当日、明らかに体調の悪い(咳こんでいるなどの)場合は出席をお控えください。なお、体調不良等の自己都合により欠席した場合、受講料の返還は行いません。
■休講について
台風・大雪、災害等交通機関の運休などによる本講座の休講は、当日の午前10時30分までに決定します。
1.休講のご連絡
教養研究センターのホームページにてお知らせするとともに、受講申し込み時のメールアドレスに休講の旨メールをお送りします。
2.受講料の取扱い
休講分の受講料(1日分、2,000円)を返金させていただきます。なお、返金手数料は大学が負担します。
【お問い合わせ先】
慶應義塾大学教養研究センター
日吉キャンパス公開講座事務局((株)クロノスジャパン内)
〒 105-0004 東京都港区新橋2-5-6大村ビル6階
Tel:03-3519-7434(電話での問い合わせは平日10:00~17:00)
E-mail:h-ext2025@adst.keio.ac.jp