寿拠点「カドベヤ」

寿拠点「カドベヤ」(イメージ)
「カドベヤ」は2010年4月にコトラボ合同会社と慶應義塾大学により共同で設立されました。慶應義塾大学における文部科学省大学教育推進事業の社会連携活動として、同年6月より毎週火曜日、からだを動かすこと、ことばをかけること、ともに食べることでつながる「動く教室」を開催。さまざまなバックグラウンドをもった人たちが交流することを目指してきました。
2012年3月に同事業の任期終了後、大学の教育事業と「動く教室」にかかわってきたメンバーで新しく「居場所“カドベヤで過ごす火曜日”」を立ち上げました。「動く教室」を継続するほか、毎週火曜日をより多くの方に利用いただけるよう「オープンDAY」とし、自由に立ち寄れる居場所として、来場者とともに展開していきたいと思います。

寿拠点「カドベヤ」

めざすもの

寿地区はいわゆる「日本3大ドヤ」の一つといわれる地区です。
その昔横浜のみならず日本の高度成長を支えた日雇い労働者の町、寿は、現在高齢化と生活保護の町になりつつあります。200メートル×300メートルという小さなブロックに120以上の簡易宿泊所が立ち並び、この簡易宿泊所に住んでいるおよそ6500人の人々はそのほとんどが50代以上の単身者です。同時に近隣の石川町の住宅街でも高齢化が進み、空き家が目立つようになりました。商業・文化的な活動が盛んなみなとみらいの反対側では私たちの社会の直面する様々な問題が明確な形で表れてきています。つまりこれらの横浜の一角はまさに10年後の日本の縮図、グローバル・シティの抱える世界的な問題の縮図となっているのです。だからこそ、未来のリーダーを育てる格好の「教科書」でもあるわけです。
大学で今求められている知の在り方の一つが「社会連携」や「地域貢献」であることは間違いありません。特に2011年の震災を経て、学生も社会の一員として社会の抱える様々な問題に他者とともにかかわっていくことの意義を感じ始めています。もちろん社会問題を解決することは難しい。しかし大学教育での意義は、問題のありかを他者を通して見つけ出し、学生自身が他者との交流と活動に参加しつつ、問題を少しでも緩和する方向に一歩ずつ向かうことでしょう。
カドベヤはそのような行動の拠点として機能しています。

内容(カドベヤのこれから)

知の土台は「想像力」と「創造性」でしょう。
カドベヤでの活動を通して学生は自分たちの足元にある問題を想像するのみならずその身と心で経験し、話を聞き、そしてともに活動し、時間を過ごすことで体と心でまず「まち」と「人々」に触れます。そしてその生活と命を通して、さまざまな問題に取り組んでいく土台を培い、創造性をもとに問題を解決するすべを見出していきます。
2012年の4月に大学教育・学生支援事業の修了と同時に、カドベヤの運営はコトラボ合同会社に移り、慶應義塾大学はそこでの教育コンテンツと地元との交流コンテンツの提供を行っています。上記二つの事業も大きな展開を見せ始めています。まず慶應義塾大学の授業の拡大化です。この4月から他大学との合同ゼミも開始し、月1回のペースでカドベヤでの合同事業を展開しています。現在のパートナーは立教大学の社会学部のゼミと横浜国立大学の教育人間科学部のゼミです。
今後はさまざまな大学のネットワーク拠点の役割をカドベヤは果たしていく予定です。また2012年5月より毎週火曜を「オープンDAY」とし、17時半からは「足湯カフェ」として、19時からは以前の「動く教室」を新たに「ストレッチと夕めし」と題して、地元の交流場所を目指し始めました。大学の行える社会連携、地域貢献には様々な形があるはずです。 まずは「そこにあること」、「誰にでも開かれていること」という小さな一歩からカドベヤは進んでいきたいと思っています。

歴史

オルタナティブスペース「カドベヤ」は、文部科学省 大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム慶應義塾大学「身体知教育を通して行う教養言語力育成」事業の中の社会連携プロジェクトの一環として、2010年4月にコトラボ合同会社と慶應義塾大学により共同で設立されました。
ちょうど中区と南区の間のかどにあるところから「カドベヤ」の名前が付きました。
一軒家の1階をお借りして、身体を動かすスペースを設けようと建築家、アーティストや学生、近くに住む寿地区の住民の援助を受けて出来上がった手作りのスペースです。ここでは主に二つの事業を展開してきました。
まずは慶應義塾大学の授業の拠点としての役割です。近隣にある寿地区で学生たちが独居老人のみまもりを行いながら、まちと人から学ぶ「寿プロジェクト?みまもり・ききとり・ものがたり」(1,2年生のための授業)、そして寿地区を含めたまちの未来を地元の住民、社会企業家やNPO団体と協働で考える3,4年生の授業の展開もここではかられました。
もう一つの事業は多くの人が集まれる、「居場所」の役割です。こうして2010年6月から毎週火曜日の夕方、からだを動かすこと(ダンス、体操等)、ことばをかけること(詩、手紙の創作等)、ともに食べることでつながる「動く教室」(現在は「ストレッチと夕めし」)を開催して現在に至っています。こうして近隣の寿地区、石川町の住民、横浜で働く人々、学生など様々なバックグランドを持った人たちが一つ屋根の下で交流することを目指してきました。

 

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