キャンパスを飛び出し、学びに行こう。
人と里が育む、森と海のある南三陸へ。
キャンパスを飛び出し、学びに行こう。
人と里が育む、森と海のある南三陸へ。
このプロジェクトは、2023年度より慶應義塾未来先導基金「未来への先導をつとめる、独立して生きる力と協力して生きる力を兼ね備えた人間の育成に資する事業」に採択され、2年目を迎えます。
2011年夏以来、多くの学生の学びの場となった「慶應義塾・南三陸プロジェクト」を進化させ、研究領域・キャンパス横断で学生や教員がかかわり、現地の方々から学び、さらに日本・世界へと視野を広げて自ら興味をもった課題に取り組み、未来に活かす知見を現地の方と交換をする、そういう学びの循環を目指しています。
今年度は、慶應義塾のさまざまな人々の南三陸に於ける活動の輪をつなぐこともめざします。
すでに南三陸での活動の経験のある方、ぜひご自身の知見を我々と共有してください。
初めて南三陸へ関心を持つ方には、2つのプロジェクトを用意しました。
○南三陸杉の間伐材を使った慶應公式グッズ開発
○学生/中高生/塾員に向けた南三陸ツアー企画
南三陸のことや、SDGsについて学び、調査・分析の成果を、人に役立つ形に仕上げてください。
自然の中で考える生命、社会の未来――我々は何ができるのか
このプロジェクトで向かう先は、宮城県の南三陸町です。
南三陸には、慶應で一番大きな学校林があります。ここが、このプロジェクトのベースになります。
学校林になった頃に植樹された木々が、半世紀を経て、ようやく近年校舎などに使われ始めるようになりました。このように人が管理する森林は、何代もの先を見据えて植樹をし、育てていきます。先達が森林を使って慶應の遠い未来を考えたように、このプロジェクトも未来を見据えて始動します。ただし、今回、この森で育てるのは、杉の若木ではなく、人です。
学校林のある南三陸町のみなさんと親交を深め、人々の営みに接する中で、自分の問いへの考察を深めてください。今後の進路に悩む人も、卒論・修論などすでにはっきりとした計画のある人も、それぞれの目的にあわせて、このプログラムを活用してほしいと思います。
南三陸町の名前を、2011年の津波の被害で、記憶されることが多いかもしれません。
けれど本来は、とても自然豊かな場所。
地層の古さ、形状も素晴らしく、明治時代から地層や化石の専門家を魅了しています。かつては金の出る地域でもありました。慶應の森には、第二次世界大戦時代に金採掘を試みた跡があります。
南三陸に降る雨がすべて注ぎ込む志津川湾は、江戸時代初頭、伊達政宗の許可を得て海岸線の調査をしたスペインのセバスティアン・ビスカイノが「大いなる入り江 una gran ensenada」(1614年)と書き残している港。2018年には、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地、ラサール条約湿地に登録されています。
その海で行う環境配慮型牡蠣養殖や、その海を育む山も、生産者から消費者に届くまでの適切な管理を行っている国際的な認証を受けています。海産物のASC認証・木材のFSCⓇ認証の両方をとっているのは日本唯一と言われています。
震災を乗り越えて自然との共生について、様々なことに取り組んでいるのです。
防災についても、これまでの経験を踏まえて他地域の人々へ多くの知見を提供しています。
その一方で、過疎化、ジェンダーギャップ、教育、文化の継承、医療、デジタル化など、日本の各地で問題になっていることも、さまざま抱えています。
こうした場所が、参加者の学びの場所になります。
研究領域を問いません。むしろ、そうした領域を越えて、生命、社会の未来について、さまざまなアプローチから考える・行動する機会を得たいという人に、ぜひ参加してほしいと考えています。
南三陸に慶應義塾の学校林が誕生したのは1971年です。それ以来の交流があります。
また慶應義塾は、南三陸町の森林組合や林業家とともに、持続可能な森林管理をめざす南三陸森林管理協議会のFM(森林管理認証)部会のメンバーでもあります。
2021年3月には、南三陸町との間に、連携協力の協定も結ばれています。
このプロジェクトとの関わりでいえば、2011年7月から2019年9月まで、大きな休みがある度に、教員と学生の有志による「慶應義塾・南三陸プロジェクト」が南三陸に赴いていました。全97期延べ1755人が、復興のお手伝いや、学校林の整備をし、慶應と南三陸の繋がりを深めました。この先輩達の活動、思いがあって、今回のプロジェクトが誕生しました。