コ ン テ ン ツ 研 究 ユ ニ ッ ト

「現代における危機的問題」教育プログラム2−現代社会と科学


研究代表者:鈴木晃仁 (慶應義塾大学経済学部教授)


 科学技術の問題を抜きにして、現代社会の根本構造と、その危機と、その解決を論ずることはできません。科学・技術・医学論(STMS = Science, Technology, and Medicine Studies)は高等教育の不可欠な要素であることは広く認識されています。しかし現在の慶應日吉キャンパスで、文系の学生向けに提供されている授業は圧倒的に文系的な内容に偏っている一方で、理系の学生たちは科学技術のテクニカルな知識の吸収にのみ忙しく過ごしています。あたかも文系の学生は科学の問題を考える必要がなく、理系の学生は自らの学問の社会文化的な役割を問う必要がないかのように。大学における科学と社会に関する教養教育の空白は、文系学生の科学技術への無知と無関心の一因となり、理系学生の社会文化への無知と無責任の一因となっています。この状況を改善するためには、文系と理系の学生の双方にとって魅力ある、STMSの教育プログラムを構築しなければなりません。

 そのために、このユニットでは、講義と教材学習とセミナー形式を組み合わせた教育コンテンツを整備します。今年度は 1) AIDSと現代世界の社会と文化 2)エネルギー問題と現代世界 の二つのコンテンツを準備します。1) を例にとると、AIDSの世界的な蔓延とその対策は、経済と政治と性と倫理の問題が複雑に絡み合っており、現代の危機と科学技術の問題に学生に目を向けさせるための格好のトピックです。それと同時に、充実したウェッブ上のリソースや豊富なコンテンツとして提供するデジタル資料は、学生が医学の問題を人文社会科学の視点で分析しその成果をまとめるための素材となります。

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