コンテンツ研究ユニット

「温故知新」型「日本の教養」研究グループ


研究代表者:岩波敦子 (慶應義塾大学理工学部助教授)

メンバー:田上竜也 (商学部助教授)、佐谷眞木人 (恵泉女学園大学人文学部助教授)

研究協力者:岩谷十郎 (法学部教授)


1.研究の概要

 「温故知新」型「日本の教養」プロジェクトでは、既存の「知」の体系や知的財産がどのように形成され、受容・蓄積・継承されてきたのかについて、1)歴史的考察を行い、2)現状を見極め、3)提言することを目指しています。


2.2005年度活動報告

 活動が始まった2005年度は、研究領域を超えたシンポジウムを企画し、問題点を共有する作業を通じて、新たな知のネットワーク構築の可能性を探りました。まず第1回目のシンポジウムとして、「専門教育から見た教養教育の現状と課題」をテーマに、理工学、哲学、医学専門教育の現場から見た、現在の日本の教養教育の現状について問題点を明確にした。第2回シンポジウムは、「法の中の教養/教養の中の法」をテーマとし、技術知に偏重しかねない法律分野における「教養性」の問題を多角的に論じました。これらのシンポジウムを通じ、高等教育の現場での「教養」をめぐる諸問題を、専門分野の枠組みを超え、共有することができました。


第1回シンポジウム 「専門教育から見た教養教育の現状と課題」

平成18年1月7日(土)13:00〜17:00 来往舎 101・102

報告者:小島和貴(中部学院大学専任講師:医療行政史)「日本の医学教育の導入過程と教養教育―医療行政史の視点から 」

河野哲也(玉川大学文学部助教授:科学哲学)「日本の哲学教育からみた教養教育−中等教育以降」

前野隆司(理工学部助教授:ロボット工学)「日本の工学教育からみた教養教育―技術者倫理教育の視点から」

司会:田上竜也(商学部助教授・本研究グループメンバー)


第2回シンポジウム 「法の中の教養/教養の中の法」

平成18年3月15日(水)13:00〜17:00 来往舎 シンポジウム・スペース

報告者:六車明(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)「法律実務と教養」

大平哲(経済学部助教授)「経済政策の現場と法」

北村隆憲(東海大学法学部教授)「法学教育から見た教養教育:法と日常性との交差の視点から」

司会:岩谷十郎(法学部教授・本研究グループ研究協力者)


このシンポジウムで得られた研究成果は、それぞれ報告書(pdfファイルあり)の形で刊行しています。


3.2006年度の研究計画

 2006年度は、2005年度の活動を通じて得られた知見を出発点に、高等教育の現場での教養教育の問題点と課題を克服する、具体的カリキュラムを構築したいと考えています。2005年度に開催された2度にわたるシンポジウムで、1)現在の高等教育が、蛸壺式で、相互に密接に関連した体系的カリキュラムが十分構築されていないこと、2)他者に共感する能力、「他者の眼差し」で課題に取り組む能力が、現代の学生に欠けているという知見を共有することができました。1)に関しては、「慶應義塾における教養論」と題し、学塾としての慶應義塾で何が教養として論じられてきたのかに関するシンポジウム・勉強会を計画しています。2)に関しては、経験知獲得の場として、現在その重要性が再認識されつつあるフィールドワークを、高等教育のカリキュラムとしてどう構築していくべきなのか、具体的試みを検証しながらその可能性を探っていきたいと思います。

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