2020年度 活動記録 ー 第3回研究会

2020年12月11日(金)16:30-18:30開催(Zoomによる遠隔会議方式)

<参加者(敬称略)>
小菅隼人(センター所長、理工学部、英文学・演劇学)
荒金直人(センター副所長、「文理連接」担当、理工学部、哲学・科学論)
鈴木晃仁(「文理連接」企画、経済学部、医学史)
見上公一(「文理連接」企画、理工学部、科学技術社会論)
宮本万里(商学部、政治人類学・南アジア地域研究)
小林徹先生(龍谷大学文学部、フランス現代思想)

16:30〜17:30 「感染のリスクと科学技術」(見上先生)
17:45〜18:35  見上先生への質問および参加者全員での自由な議論

第三回目の講演は見上公一氏によるものであった。主題は、Covid-19 に関して、感染のリスクと科学技術の社会論を取り上げたものである。

最初の話題としては、STSと略される学問は、Science and Technology Studies と Science, Technology, Society の二つに分けることができることで始まった。次には新型コロナウィルスの感染症を、生政治の視点から分析するとしてジョルジオ・アガンベンの視点や美馬達哉の分析などを紹介した。また浜田明範が『現代思想』に掲載した「感染者数とは何か」を紹介し、「私たちは、皆すでに COVIID-19の患者なのである」という言葉を引用した。その次にイギリスへのチェルノブイリの放射線の影響を論じた、Brian Wynne, “Misunderstood misunderstanding: social identities and public uptake of science”, Public Understanding of Science, 1992;1(3):281-304. の議論を紹介して、専門家と当事者・住民の緊張の問題を紹介した。

後半部分では、日本におけるcovid-19 への対応と、それに応じてアメリカ、イギリス、ドイツなどで作り出されたワクチンという最新の動きを取り上げ、2020年の12月までのデータを取り込んだ議論を論じた。感染症に関して、日本が2020年の2月頃から12月までのさまざまな変動が論じられ、水際での対応、クラスターの発生、外出自粛などのように政策が変化していていった。この中で、自分の健康、他者の感染、社会的な制裁、経済活動と社会福祉サービスなどに関して大きなばらつきがあることを指摘した。また、11月から外国の製薬会社が開発したワクチンの期待があると同時に、多くの懸念すべき問題があることも指摘した。

議論においては、日本と諸外国の違いに関する質問が多かった。アメリカやイギリスとの違い、中国、韓国、台湾との違いに関する質問である。それらについての議論に見上は適切に対応していた。

(以上、文責は鈴木)