コンテンツ研究ユニット
ユニット代表者:近藤明彦 (慶應義塾大学体育研究所教授)
コンテンツユニットでは、次の4つの課題に取り組んでいます。
第1は導入教育プログラム「知との遭遇」の必要性の検討です。国内外において大学入学初等の導入教育の重要性が指摘されていますが、ここでは(1)国内外の導入教育・接続教育の事例の調査、(2)高等教育の場における導入教育の意義の検討、(3)高等教育における学びの「場」と「コンテンツ」をどのように経験し、新たな知の世界を切り開く能力を開発しうかという点が検討されます。これらの成果を基に独自の「導入教育」プログラムの開発を目指しています。
まず第2は「温故知新」型教育プログラム「日本の教養」です。これは、既存の「知」の体系がどのように形成・受容・蓄積・継承されてきたのかについて再考を行い、(1)歴史的考察を行い、(2)現状を見極め、(3)提言することをねらいとしています。そのために専門教育と教養教育の関連の検討や、相互に関連する体系的カリキュラムの構築等が検討されています。
第3は「身体知」教育プログラム「心と体と頭―経験と理論の融合論」です。ここでは近年注目されるようになってきた身体知という概念とその教育の可能性について、身体による行動(Behavior)を身体知教育の対象として捕らえ、(1)直接経験と言語化の相互作用の検討、(2)身体知教育の目的の明確化、(3)体験プロセスを重視した教育プログラムの策定等を検討しています。そのため、身体知という言語化され得ない内容をどのように取り扱うかということに焦点を置き、「アーカイブ作成」によるデータの蓄積と、それに基づく新たな「身体知」教育モデルの構築が試みられています。
最後の第4として「現代の危機的問題」をどう捕らえるかについて検討を行います。ここでは現代の民族・宗教問題と現代科学の行く先を考えるという二つの課題を設定しています。「信じる?−現代の民族・宗教問題」については、(1)「民族」および「宗教」は現在どのように教えられているか、(2)その授業形態はどのようなものか、(3)教育の各段階でどのような教育がなされてきたかについて検討されます。そして、今後の教養教育プログラムとしてどのような視点で何を取り上げるべきかを明らかにします。また、「先端をキャッチ−現代科学の行く先を考える」については、(1)現代の医学の問題から、そして(2)現代の物理学の問題からという二つの視点から教材の開発と学生の参加の可能性の検討がなされています。