2020年度 活動記録 ー 第6回研究会

2021年3月19日(金)15:30-18:00開催(Zoomによる遠隔会議方式)

 <参加者(敬称略)>
小菅隼人(センター所長、理工学部、英文学・演劇学)
荒金直人(センター副所長、「文理連接」担当、理工学部、哲学・科学論)
鈴木晃仁(「文理連接」企画、経済学部、医学史)
見上公一(「文理連接」企画、理工学部、科学技術社会論)
寺沢和洋(センター副所長、医学部、放射線研究)
井奥洪二(自然科学研究教育センター所長、経済学部、環境科学・医工学)
宮本万里(商学部、政治人類学・南アジア地域研究)
沼尾恵(理工学部、政治哲学・寛容論)
高山緑(理工学部、心理学)
縣由衣子(外国語教育研究センター、フランス現代思想)
小林徹(龍谷大学文学部、フランス現代思想)
石田勝彦(東京化学同人、科学系出版)

15:30〜16:30 「文理連接プロジェクトの意義と方向性について」(小菅先生)
16:30〜18:00  参加者全員での自由な議論

今回は今年度の活動の統括として、教養研究センター所長の小菅先生から「文理連接プロジェクトの意義と方向性について」というタイトルで問題提起を頂き、全体で議論を行った。

冒頭では、小菅先生よりご専門である演劇に関して新型コロナウィルス感染症がどのような影響を与えているのかについてのご紹介があった。AIDSなどの過去の感染症も演劇に大きな影響が見られたが、新型コロナウィルス感染症は劇場で上演あるいは観劇するという行為が感染につながる可能性を持つことから、題材としてのみではなく演劇という文化の根本にも影響を与えるのではないかという感覚を関係者が持っていることが紹介された。オンラインでの上演はその一例であり、そのような新しい形態に対しても賛否様々な声が上がっているという。

演劇における状況やこれまでの研究会での議論からも見えてきたように、感染あるいは新型コロナウィルスといったテーマは様々な観点から理解がなされる必要がある。だからこそ、文理連接をどのような活動として進めていくかというのが、小菅先生の問題提起であった。小菅先生は20年ほど前に日吉で開催された身体医文化論という研究会とその成果として編集を行った『腐敗と再生』(慶應義塾大学出版会、2004年)という書籍の編集という作業を通じて、特に文理連接というものの可能性を感じたという。その活動では参加者がお互いの専門分野について理解し、刺激し合う環境が形成されていたという。では、今回の文理連接プロジェクトでは、どのような問題意識で、何を目標として、どのような活動を行うべきなのか、この機会に改めて考えてみる必要があるのではないかという提案がなされた。

これに対して参加者からは様々な見解が示された。文理連接によって、それぞれの専門分野の研究活動では難しいことが達成される可能性なども示されたが、一方でそれぞれの専門分野を尊重するという姿勢の必要性も主張された。そもそも連接するというには文・理という二つの学問のカテゴリーが存在していることを前提とするが、そのカテゴリーが本当に妥当なのかについても目を向ける必要があるという意見も出た。さらに、今後の活動ではどのように専門の異なる研究者間の繋がりを作ることができるのかについて、もう少し目を向けていく必要があるのではないかという声もあった。研究会をより多くの参加者に開いていくなどの可能性も含めて、今後の発展に期待が高まる議論となった。

(以上、文責は見上)