学┃生┃論┃文┃コ┃ン┃テ┃ス┃ト┃メールマガジン第1号 ┃
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配信日:2012.9.20
■《巻頭言》
ロンドンオリンピックが幕を閉じ、夏休みもあとわずかになってしまいまし
たが、2012年の夏はみなさんにとってどんな夏だったでしょうか。このメール
マガジンの読者は、自主的に論文の勉強をしようという意欲の高い人なので、
それぞれ有意義な夏休みを過ごされたのではないかと思います。いやいやコン
テストは単なる賞金目当てだよという諸君もいるかもしれません。
動機が何にしろ、192人のみなさんがお互いに競い合って、何かを学んでく
れればこんなうれしいことはありません。でも、何かを仕上げる、成し遂げる
というのはそう簡単なことではないので、相応の決意と計画性を以て臨んでく
ださい。
このメールマガジンはそういう挑戦者のみなさんを側面から応援します。11
月にまでに戦線離脱する人が出ないことを祈っています。
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■《ワンポイント・セミナー》第1回 論文とは?論文の問いの立て方とは?
法学部准教授 佐藤元状
今日は、みなさんに論文とはどのようなものなのかについて、そして論文の
問いの立て方のコツについて、簡単にお話したいと思います。
みなさんは今回論文の作成にあたって、どのような苦労をしていますか?そ
もそも長い文章を書くこと自体がはじめてという人も多いのではないでしょう
か。これまで短い読書感想文やレポートなどを書くことはあっても、原稿用紙
20枚の論文を書くのは、想像よりも難しい作業ではないでしょうか。しかも、
論文には、いくつかの厳しい決まり事があります。この決まり事の詳細につい
ては、『アカデミック・スキルズ――大学生のための知的技法入門 第2版』が
近々出版されますので、ぜひ手に取っていただきたいのですが、論文とは、つ
まるところ、自分で特定のテーマを設定し、そのテーマについて書かれた過去
の文献のリストを作成し、それらの文献を読み込みながら、自分の問題意識を
明確にし、その自らのリサーチと熟考の成果を引用や注などの論文作成上の
ルールを守りながらまとめあげたものと言うことができるでしょう。
このようにまとめてみると、どこが最初の躓きとなるかわかるでしょう。そ
うです、自分で特定のテーマを設定すること、つまり論文の「正しい」問いの
立て方ができるかどうかが、みなさんの最初の試練なのです。みなさんの論文
には、タイトルが付けられていると思いますが、そのタイトルをもう一度自分
で確認してみてください。論文のタイトルは、その内容の要約となるべきもの
です。ということは、もしそれが「宗教の歴史」のようなものであれば、確実
に最初の一歩を踏み外したことになります。なぜならば、みなさんはそのテー
マの過去の文献を読むだけで、一生を費やすことになるからです。「日本の」
という地理的な限定や、「1980年代以降の」という時代的な限定があると
一歩前進です。でも、これでもまだまだ大きい。もっとテーマを具体的に絞り、
なおかつ独自の論点を持つことが必要になります。
「正しい」問いの立て方は、みなさんが現在持っている力で証明できる、適
切な大きさのテーマを選択できるかどうかにかかっています。原稿用紙20枚
では、実は論じられるテーマの大きさは、かなり限られているのです。論文作
成に本格的に取り掛かる前に、もう一度タイトルをよく検討してみてください。
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■《論文作成ナビ》
1)提出する論文のタイトルおよび部門は、事前登録と異なっても構いません。
2)参考になると思われる論文タイトルの具体例が、学生論文コンテストのWEB
ページの「応募者の部屋」に多数掲載してありますのでコツを見習ってくださ
い。
http://lib-arts.hc.keio.ac.jp/ronbun/heya.html
3)『アカデミック・スキルズ――大学生のための知的技法入門 第2版』は9月
下旬に慶應義塾大学出版会から発売予定です。
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■《推薦図書紹介》 毎号1冊ずつ紹介してゆきます
新版 論文の教室 -レポートから卒論まで-
戸田山 和久 著 NHKBOOKS

“キミは論文って何かを知っているか!?”12万部突破……と帯に書いてあ
る。作文ヘタ夫くんという主人公が論文を書くことにチャレンジしてゆく様子
を示してユーモアをまじえて書かれている。
読み物風にストリーに沿って書かれているので、分からない事について拾い
読みをしたり、テキストとして参照する使い方には向かないが、読みやすい手
引き書だ。論文の例がかなり多く書かれている。“キミは論文って何かを知っ
ているか”が第I部のタイトルでもあるが、ここだけ読んで止めたとしても、
それだけで4年間の大学生活の役に立ちそうなので、新入生にはお奨めの本で
ある。
もう一つの特長は、副題が“レポートから卒論まで”となっており、論文ま
ではいかなくても授業で提出を求められるレポートを書けるようなりたいとい
う人にもお奨めできる。17個の練習問題があるのも特長である。
本書は新版として改訂され8月30日に出版されたばかりで、インターネット
などの情報アクセス法のより詳細な解説が付け加えられ、さらに巻末付録には
論文作成に役立つノウハウがコンパクトにまとめてあり、とても便利だ。
著者の専門:科学哲学 索引:なし
初版:2012年8月 本体価格 1200円
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■《事務局からのお知らせ》
*DVDプレゼントの希望者が94名でした。予想以上に多かったので驚きまし
た。既に抽選を終えて、当選者には8月30日に発送ずみです。希望したのに届
いていない人は ”残念!”でした。
*論文コンテストのWEBに「応募者の部屋」を作って、論文作成に役立つ情
報をこのメールマガジンと別に提供しています。定期的にチェックしてみてく
ださい。
*学生論文コンテストの「論文執筆および提出の要領」は近日中にE-mailで送
信します。届いたらよく読んで確認をしてください。
<編集後記>
このメールマガジンは論文提出の11月まで何回か発行します。頻度は今お約束
できませんが、みなさんに負けないようがんばります。
監修 :吉田恭子
編集 :柴田浩平
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■■■■ 学生論文コンテスト ■■■■
Web http://lib-arts.hc.keio.ac.jp/ronbun/index.html
E-mail ronbun-lib@adst.keio.ac.jp
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このシステムで事務連絡をすることがあるので、配信停止をしないでください。
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